更新日: 2024.11.01
ホームページ(WEBサイト)のリニューアルといっても何も考えず突発的に進めると、想定していたものと違うホームページが出来上がり、多大なコストを掛けたのに失敗する可能性や、当初想定していたよりも多くの期間が掛かる可能性があります。
これはリニューアル時だけでなく、新規でホームページ制作するときにも起こりえることです。
それでは、失敗しない、希望通りのホームページを制作会社に依頼するためにはどうすればよいのでしょうか。
今回の記事では、ホームページリニューアル時に失敗しないための『要件定義(サイト設計)』について解説いたします。
目次
「要件定義」と言葉だけ見ると、難しく感じるかもしれません。
簡単に説明すると、ホームページにおいて「どのような目的をもって、何を達成するのか、それを実現するためにはどのような仕様のホームページであるべきか」をまとめる工程となります。
ホームページリニューアルにおけるゴール(何をもって成功といえるのか)を明確にしておかないと、リニューアルした際に「失敗した」ように感じたり、リニューアル後の成果が不透明で「多大なコストを掛けてリニューアルしたのに効果を実感することができない」といった悩みに直結する要因となります。
このような悩みが発生しないよう、発注側、制作会社が同じ方向(目標)をもって制作に取り込む土台を作るのが要件定義とよばれる作業です。
それでは要件定義を行う際は何から取り組めばよいのでしょうか。
要件定義といっても決めるべき事項は多岐にわたり一番最初に壁にぶつかるポイントとなります。
まずはリニューアルを行うホームページ(もしくは新規ホームページ)の役割について考えてみましょう。
ホームページをリニューアルしたとしても、そのホームページが一番見てほしいターゲットユーザーに刺さらなければ意味がありません。
一番ホームページを見てほしいユーザー(=ターゲット)に対して、一方的に情報発信を行ない、理解、行動してもらうことです。
ホームページ(一部掲示板サイト等は除く)は、SNSとは違いホームページ上でエンドユーザーと双方向にコミュニケーションをとることはできません。
だからこそ
どのような人(ターゲット)に対して
何を見せて(どんな体験をしてもらう)
どうしてもらうのか?(ゴールを決める)
を決めることが重要です。
ホームページリニューアルの要件定義とは
「誰」:ホームページ上のターゲットを明確にし
「何」:どんなコンテンツを見せて、体験してもらい
「どう」:どのようなアクションをしてもらうのか
この要件定義を徹底することで、適切なターゲットが真に欲しているコンテンツを、適切なタイミングで提供でき、他社と差別化されたホームページを構築することが可能となります。
要件定義の重要性がわかったところで、具体的にどう決めていけばよいのでしょうか。
まずはKPI設計・分析・調査を行いましょう。
前段でも述べた通り、ホームページのゴール(〇〇が達成できたから、サイトを制作して良かった)と思える点がないと、ホームページリニューアル後の成果は不透明になってしまいます。
ではどのようにKPI設計をすればよいのでしょうか。
KGI(最終目標)は、事業における達成すべきゴールとなります。
ゴールがあって初めて、それを達成するためのKPI(中間目標)も見えてくるため、事前に設定される必要性があります。
KGIを達成するための必要なKPIが達成できない理由として、ホームページ上に何かしらの課題(問題点)があるためリニューアルを行うという場合が多いです。
例として、お問い合わせが少ない、PVが伸びない、直帰率が多いなどが挙げられます。
クリアすべき課題であるKPIが定まったら、ターゲットを設定しましょう。
ターゲットを設定する際には、具体的なターゲット像を定めるペルソナ設計を行うと、よりターゲットの属性に合ったデザインテイストなどをホームページに反映することが可能です。
効果が出るホームページを作るために重要なのは、あくまでも発注側が好むホームページではなくターゲットが好むホームページです。
関連記事:【保存版】ペルソナの作り方を徹底解説!わかりやすい5ステップで理想の顧客像を設計しよう
ターゲットが明確になったうえで、そのターゲットのニーズを把握しましょう。
ターゲットが欲しているコンテンツがホームページ上に存在しないと、ユーザーが離れてしまう原因となりCV(コンバージョン)に寄与しない可能性が高くなります。
自社ホームページの分析を通じ、どのページがCVに寄与しているのかを把握することが重要です。
リニューアルした際にニーズがありそうなコンテンツの実装を考慮し、自社ホームページだけではなく、市場、業界全体のニーズや、競合他社のコンテンツ等も分析する必要があります。
クライアント様の御協力の元、情報を取りまとめ、SWOTクロス分析を行ないます。
これにより、他社には真似できない強み(USP)を発見することができ、ホームページ内に生かすことができれば、競合他社との差別化が図れる大きな武器となります。
ペルソナが実際には、どのようなタイミングでホームページを使うのかなどカスタマージャーニーを作成し、ホームページの使われ方(立ち位置、役割)を決めます。
このシナリオに沿って、コンテンツの取捨選択を行ないます。
※カスタマージャーニー:ユーザーの一連の行動シナリオ
ホームページの役割は、そのホームページがどのような目的で、どのような機能を果たすのかを定義します。
例えば、製品情報の提供、オンライン販売、顧客サポート、情報共有の場など、ホームページに求められる役割は様々です。
そういった役割の認識が、制作に携わる個人間で認識の齟齬が起きないよう定義します。
ホームページ上におけるコンバージョンを定義します。
CVには商品の購入、お問い合わせフォームの送信、ニュースレターへの登録、ダウンロードの実行などがあります。成果点は、サイトの目的達成に直結する重要な指標です。
ホームページを制作する背景にある具体的な目的を定義します。
新商品のプロモーション、ブランド認知度の向上、顧客とのエンゲージメントの強化など、何を達成したいのかを明確にします。
現在直面している問題や課題を洗い出します。例えば、顧客からの問い合わせが多く、手作業での対応に限界がある、ホームページの訪問者が少ない、オンラインでの売上が伸び悩んでいるなど、解決すべき点を明らかにします。
ただホームページを作るのではなく、何の課題があって、その課題を解決するためにホームページをつくるのかという目線が重要となります。
ホームページを訪れることが想定されるユーザー層を特定し、その性別、年齢、職業、収入、ライフスタイル、興味関心などを詳細に分析します。ターゲットユーザーを明確にすることで、より効果的なコンテンツやデザインを計画できます。
ホームページを通じて伝えたいブランドイメージやユーザーに与えたい印象を定義します。信頼感、革新性、楽しさ、安心感など、どのような価値を訴求するかが重要です。
ホームページのビジュアル面に関する要件を定めます。色使い、フォント、レイアウト、画像や動画の使用、UI(ユーザーインターフェース)の要素など、ホームページの見た目と使い勝手に関わる全般を指します。
このデザイン要件内で決定することとしてはイラストや写真素材の支給はあるのか、Adobe Stockなどのストックフォトサービスの利用は問題ないか、ロゴ素材の支給はあるかなどを確認します。
また、同時に印刷物など他の媒体への素材の流用についても問題ないか確認が必要です。
サポートするブラウザの種類やバージョンを定義します。多様なブラウザやデバイスに対応するための技術的な指針を設けます。
一般的には下記のOS・ブラウザでの動作検証を実施します。
Windows
macOS
Microsoft Edge
Google chrome
Mozilla Firefox
Android
iOS
一般的には上記記載のブラウザでの動作検証であれば、ふつうにみる分には問題は起きないのですが、要件によってはInternet Explorerなどの廃止されたブラウザでの動作が必要な場合があります。(公的機関でそのブラウザしか使用してはいけない等の制限があったり、システム上の制限がある場合など)
Internet ExplorerはWindows11で廃止されたブラウザであり、内部の描写エンジンも古いので最新のコーディング技術に対応しておらず、デザインの凝ったホームページなどは崩れる可能性があるので注意が必要です。
関連記事:ブラウザとは?初心者のためのWebブラウザ完全ガイド
ホームページが運用されるサーバーやデータベース、その他のインフラストラクチャに関する要件を定義します。パフォーマンス、スケーラビリティ、可用性などが含まれます。
ホームページの機能性に関わる技術的要件を指します。CMS(コンテンツ管理システム)の選定、Eコマース機能、フォーム、API連携など、サイトに必要なシステムの構築と設定に関わる項目です。
ホームページとユーザーのセキュリティを保護するための要件。データ保護、SSL証明書の導入、セキュリティ対策(ファイアウォール、マルウェア対策など)に関する方針を定めます。
プロジェクトの納品物に関する要件を指します。具体的な納品物のリスト、納品形式、納品のタイミングなどを明確にします。
プロジェクトに関わるチーム構成や役割分担、コミュニケーションの方法などを定義します。スムーズなプロジェクト進行と管理のための体制を整えます。
ソーシャルメディアとの連携に関する要件。共有ボタンの設置、SNS経由でのログイン機能、ソーシャルメディアでのプロモーション活動などを計画します。
ホームページの成果を測定するための要件。アクセス解析ツールの導入、KPI(重要業績評価指標)の設定、レポートの形式や頻度などを決定します。
複数の言語に対応するための要件。対応する言語、翻訳の品質管理、多言語サイトの構造などを計画します。
検索エンジン最適化(SEO)のための内部施策。キーワード選定、メタデータの最適化、内部リンクの構造など、検索エンジンにサイトが適切にインデックスされるための技術的な要件を定めます。
すべてのユーザーがホームページにアクセスしやすいようにするための要件。視覚障害者向けの読み上げ対応、キーボードナビゲーションの最適化など、アクセシビリティの向上に関わる項目を含みます。
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した内容は要件定義における触りの部分となり、細かく突き詰めていけば非常に多くの確認手段があります。
もっと詳しく知りたい方は、下記より弊社で実施したウェビナーの動画をコンサルタントによる解説付きで閲覧することができますので、興味がありましたら是非ご覧ください。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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