更新日: 2024.09.02
WEB広告の専門用語で、「PPC広告」という言葉があります。リスティング広告と混同されやすい用語で、両者の違いが理解しづらい方もいるかもしれません。
この記事では、PPC広告の概要やリスティング広告との違い、PPC広告を選ぶメリット・デメリットなどについて解説します。
目次
PPCとは「Pay Per Click」の頭文字を取ったものであり、クリックされるごとに広告費が発生する仕組みのことです。すなわちPPC広告とは、そのような仕組みで運用されているWEB広告のことを指します。
PPC広告では、広告が表示されただけでは広告費は発生しないのが特徴です。
PPCと似た言葉にCPC(Cost Per Click)というものがあります。これは1クリックあたりの「単価」を表す用語であり、PPC自体とは別の概念になります。
ただし、「CPC広告」はクリックごとに課金される形態の広告を表し、PPC広告とほぼ同義で使われる場合が多いです。
先述のCPC広告と同様に、PPC広告とよく混同されるものにリスティング広告があります。両者の違いとして、区分方法の違いという点が挙げられます。
リスティング広告は「表示方法による区分」であることに対し、PPC広告は「課金モデルによる区分」となります。
つまり、
PPC広告:クリックするたびに費用がかかることから名付けられている広告の種類
リスティング広告:検索結果画面上部に表示される広告の形態
を指しており、料金モデルの区分で見れば、リスティング広告もPPC広告の一種となります。
PPC広告の運用におけるメリットとしては、主に以下の4つの点が挙げられます。
まず、費用対効果が高いという点です。PPC広告は、ユーザーが広告をクリックして初めて費用が発生し、ただ広告が表示されただけでは費用が発生しません。
ユーザーが広告をクリックするということは、その広告に興味を持ったということであり、よりCVの高いユーザー行動に対して費用を割くことができるため、費用対効果を高めることができます。
次に、効果測定がしやすいという点がメリットとして挙げられます。
PPC広告においては、クリック数を始めとして、広告が表示された回数(インプレッション数)やコンバージョン数といったデータを得ることができます。
そのため、これらの数値を用いて、「広告がクリックされた割合はどのくらいか」「どのくらいのユーザーをコンバージョンへ繋げることができたか」といった広告の効果測定を行うことができます。
なお、「広告がクリックされた割合(CTR)」は
CTR(%)= クリック数 ÷インプレッション数 × 100
「コンバージョンに繋がったユーザーの割合(CVR)」は
CVR(%) = コンバージョン数 ÷ クリック数 × 100
といった式で求めることができます。
PPC広告の3つ目のメリットとしては、出稿の停止や編集のしやすさ、といった点があります。これはWEB広告全般にいえる特徴ですが、PPC広告であれば、クリック数をもとにして広告出稿停止の判断や広告文・クリエイティブの編集を行うことができます。
たとえば、広告を出稿してみたは良いものの、なかなか思うようにクリック数が伸びないといった状態であれば、すぐに広告文を変更したり、また、予算を消化しきったときにその場で出稿を停止したりといった対応が手軽に行うことができます。
最後に、SEOと比較してすぐに効果が出やすいというメリットがあります。
SEOにおいてユーザーとの接触機会を増やすためには、検索エンジンからの評価を向上させ、検索結果画面で上位を獲得していく必要がありますが、これには少なくとも約半年など、長い期間を要する場合がほとんどです。
一方でPPC広告は、配信直後から各掲載面に表示され、ユーザーとの接触機会を比較的早期に得ることができます。
そこから広告に興味を持ってもらうことができれば、さらにユーザーのクリックを得られるため、配信開始からすぐにユーザーの反応や広告の効果を見ることができます。
一方、PPC広告のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
PPC広告、特にリスティング広告におけるデメリットとして、競合性によってはクリック単価が高騰する場合がある、という点です。
リスティング広告においては、入札単価✕広告の品質スコアで掲載順位(広告ランク)が決定されるため、多くの競合他社が出稿したいキーワードにおいては、入札単価が高騰することになり、予算を圧迫することが考えられます。
その場合は、より競合性の低いキーワードで出稿し、入札単価を下げたり、同じキーワードでもターゲティングを限定して競合性を下げる、といった対策を推奨します。
PPC広告は、配信が開始すればあとは放置しておけば良い、といったものではなく、ユーザーの反応や広告の効果を都度監視して、改善や修正を繰り返す必要があります。
配信開始状態のまま放置してしまうと、思ったような効果を得られないまま費用ばかりを消化してしまった、ということになりかねません。
ですが、効果測定を経て改善施策を打つ、となると、数値をもとに結果を分析し、さらなる改善のためにはどのような施策が考えられるか、といった知識や分析のためのリソースが不可欠です。
それを踏まえると、社内で運用を内製化するのはなかなか難しい、といった場合も少なくないでしょう。
そういった場合は、外部の専門家に外注する、といった手段も一つの解決策として検討してみると良いでしょう。
PPC広告となる広告媒体として、以下の3つを紹介します。
なお、以下に紹介する媒体に関しては、「PPC広告とリスティング広告の違い」の項に掲載した図で示した通り、PPC広告としての側面もあれば、課金形態によってはCPM広告などといった、その他の広告に属する場合もあります。
まずは、前項でもお伝えしたリスティング広告が挙げられます。
リスティング広告とは、「検索連動型広告」とも呼ばれる、検索結果画面に表示される広告のことです。基本的にはテキスト形式で表示されます。
検索キーワードと広告の品質スコア、入札単価といった要素によって広告ランクが決定され、検索結果画面の上から順に配信されます。
関連記事:【初心者向け】リスティング広告とは?特徴や料金や仕組みを解説します
ディスプレイ広告とは、WEBサイトのページやアプリなどの画面上に表示される広告のことです。「コンテンツ連動型広告」とも呼ばれます。
キーワード検索するほどニーズの顕在化はないものの、少なからず関心のあると考えられる、潜在的なユーザーにもアプローチすることが可能となります。
関連記事:ディスプレイ広告とは?その特徴と運用代行会社の選び方
X(旧Twitter)やFacebook、InstagramといったSNSのプラットフォームに配信されるSNS広告もPPC広告に含まれることがあります。
これらのSNS広告では、アカウント情報やSNS上でのユーザー行動をもとにターゲティングを行い、タイムラインやおすすめなどでユーザーとの接触機会を増やすことができ、効率よく配信・訴求を行うことできます。
SNS広告の種類や概要に関しては、下記の記事で解説しています。
関連記事:SNS広告の種類と特徴とは?
では、実際にPPC広告を出稿するためにはどうすれば良いのか、出稿方法や課金方式について解説していきます。
なお、PPC広告の中でも、出稿媒体の違いによって手順が多少異なる点にはあらかじめ注意しましょう。
ここでは、広告を出稿し配信するまでの手順を紹介します。
まずは、広告を配信するためのアカウントを開設しましょう。Google広告・Yahoo広告であれば管理画面におけるアカウント、SNS広告であれば、各媒体を利用するためのアカウントをそれぞれ新規で作成します。
キャンペーンとは、広告を管理するための単位のことを指し、一般的に商品やサービスカテゴリごとに作成されるものです。たとえばGoogle広告においては、目的やキャンペーンタイプ(リスティングやディスプレイ等)といった設定を行います。
PPC広告のより効果的な配信・運用のためには、目的を明確化して、適切なキャンペーンタイプの選択やキャンペーン設定を行いましょう。
次に、入札単価の設定を行います。ここでは、広告のクリック1回に対して最大いくらまでであれば費用をかけていいか、といった金額を設定します。
入札単価を設定したら、次はキーワードの選定を行います。これは検索連動型広告であるリスティング広告のみの工程で、検索キーワードと連動しないディスプレイ広告やSNS広告においては不要です。
どのようなキーワードで検索したユーザーに対して広告を表示するか、対策するキーワードを選定していきます。選定したキーワードは、管理画面上では「広告グループ」と呼ばれる単位で管理していきます。
表示させる広告の文章やクリエイティブを設定します。文章や画像だけでなく、広告をクリックした際の遷移先URLも設定します。
広告をユーザーの興味を喚起させるものに設定することはもちろん重要ですが、遷移先のLPやWEBサイトのページを、ユーザーのニーズによりマッチしたものに設定することもコンバージョン獲得に大きく影響してくるので、精査した上で設定しましょう。
最後に、予算を設定していきます。ここでの予算は先ほどの入札単価とは違い、「1日あたりで使う平均予算の希望金額」を設定します。
以上の設定を終えたら、広告を入稿します。管理画面上で広告の公開ボタンを押してもすぐに配信開始ではなく、一度媒体側での審査が行われます。その審査通過を待ってから、配信開始となります。
なお、最初にもお伝えしたように、広告媒体によってそれぞれ出稿までの設定の手順の詳細は異なります。
各媒体別の広告の始め方に関しては、下記の記事を参考にしてください。
【初心者向け】リスティング広告とは?基礎知識から成果を出すポイントまで解説
ディスプレイ広告とは?その特徴と運用代行会社の選び方
初心者のためのX広告(旧Twitter広告)の出し方
Facebook広告のやり方は?特徴・注意点・成果を上げるコツも解説
Instagram広告の出稿方法や手順について解説
TikTok広告のやり方は?特徴や種類、成果を上げるコツも解説
次に、PPC広告の入札方式と課金形態について紹介します。
PPC広告における入札は、広告主がクリック単価を自ら設定して入札することができる方式をとっています。つまり、1回のクリックに対してどの程度までなら費用をかけられるか、上限金額を設定することができます。
より高い金額を入札した広告主のサイトやLPが上位表示されやすい傾向はありますが、必ずしも金額ですべて決まるわけではないので、注意しましょう。
PPC広告の課金形態に関しては、先にもお伝えしたように、クリックごとに発生する形式となっています。広告が表示されただけでは費用が発生しないため、よりサービスや広告に興味を持ったユーザーに対して費用を割くことができる課金形態といえます。
なお、PPC広告の費用はクリックに応じて以下のように加算されます。
計算式:クリック単価 × クリック数=費用総額
最後に、広告配信開始後、運用していく上でのポイントを紹介します。
広告運用の際には、よく広告そのもののみの改善に注力しがちですが、コンバージョン獲得という観点から見ると、広告をクリックして遷移する先のページの内容も重要になってきます。
たとえば、広告では割引キャンペーンを訴求していた一方で、遷移先のLPが、キャンペーン内容には全く触れず、サービス内容のみを訴求している内容になってしまっていたらどうでしょう?
遷移先LPの内容がユーザーの興味やニーズと乖離がある場合、ユーザーはそのままページを離れてしまうため、結果としてコンバージョンまで繋がらないクリックの割合が大きくなってしまいます。
CTRに対してCVRが思うように振るわない状況がみられる場合、遷移先のLPの内容も精査するようにしましょう。
広告は公開してそのままでは成果に繋がりづらかったり、効果的な運用に繋がりづらかったりします。
公開した広告が実際にユーザーからどのような反応を得られたのか、効果検証を踏まえて改善施策を行う、といったPDCAサイクルを回すことで、どのキャンペーンにより予算をかけるか、どのような広告クリエイティブがより多くのクリックを得られるのかなどを精査していき、より効率的な広告運用を行いましょう。
PPC広告は課金モデルによる区分での名称であり、リスティング広告を含め様々な媒体の広告があります。
クリックごとで費用が発生するため、より興味をもっているユーザーのクリックへ効率よく広告費を割くことができますが、やはりどの媒体においても、ただ配信するだけではそのメリットもなかなか活かしづらい結果となってしまいます。
どのくらいの費用でどの程度クリックやコンバージョンを獲得しているのか、さらに成果を上げるためにはどこを改善すれば良いのか、効果検証とPDCAサイクルを回すことを常に念頭に置いて運用していきましょう。
いかがでしたでしょうか?皆さんにとって有用なコンテンツとなっていれば嬉しいです。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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