更新日: 2025.03.06
リスティング広告を自社で運用する際に、
・何から始めれば良いのか?
・相場はどれくらいなのか?
・いくらぐらいかかるのか?
と思っている方も少なくないでしょう。
リスティング広告とは、Google、Yahoo!を初めとする検索エンジンにおいて、検索結果に連動し表示されるWEB広告です。
リスティング広告はユーザーが検索したキーワードに応じて、テキスト広告を表示させるシステムです。ユーザーがクリックした場合のみ、入札したクリック単価に応じて課金されます。商品やサービスに結びつきの強いキーワードにフォーカスすることによって、無駄な広告費を省いた効率の良い広告掲載が可能です。
関連記事:【初心者向け】リスティング広告とは?特徴や料金や仕組みを解説します
リスティング広告は、とりわけ特定の商品やサービスに興味があるユーザーを効率的に集客したいと考えている方におすすめの手法です。
この記事ではリスティング広告運用を検討している方に向けた、リスティング広告の費用や相場、予算の決め方から費用対効果を高める方法など、運用のコツを交えて解説します。
目次
リスティング広告費用が決まる仕組みとして、下記の2点が挙げられます。
・クリック課金制
・オークション制
それぞれの概要について説明します。
クリック課金制とは、ユーザーから広告が1回クリックされるたびに費用が発生する仕組みを指します。
クリックされてはじめて広告費が発生する仕組みで、広告が検索結果に表示されるだけでは費用は発生しません。
クリックされた際に発生する単価は「クリック単価」と呼ばれ、広告主が自由に設定できます。
クリック単価は、キーワードの人気度や競合状況によって適切な設定値が変わってきます。人気のキーワードでは競争が激しくなるため単価が高くなる傾向がありますが、ニッチなキーワードではより安価に広告を出稿できることも少なくありません。また、多くの広告プラットフォームでは日次や月次の予算上限を設定することもできるため、予算管理がしやすいという利点もあります。
リスティング広告の掲載順位の決定は、オークション形式です。インターネットユーザーが貴社の広告をクリックした時に、入札単価 × クリック数 で請求金額が決定します。
広告枠に対して複数の広告主が入札を行い、オークションで勝ちとった場合にユーザーの画面へ表示が可能です。
オークションは入札額のみではなく、広告ランクなどほかの要素も加味されます。
つまり、単純に最高額を提示した広告主が必ず上位に表示されるわけではないということです。多くの広告プラットフォームでは「品質スコア」や「広告関連性」といった指標も重視されており、ユーザー体験を向上させる質の高い広告は、より低い入札額でも上位表示される可能性があります。
広告ランクについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
リスティング広告は、最低出稿金額が設けられていません。そのため、リスティング広告の費用については、Google広告では1円単位、Yahoo!広告では100円単位から設定が可能です。
リスティング広告の費用相場としては、一般的に20万円~30万円程度から開始するケースが多い傾向にあります。一定の成果をだすためにも、ある程度の予算は確保した上で配信を行うことを推奨します。しかしリスティング広告の運用費用は前述したとおり、業界や狙いたいキーワードで差が出ます。
キーワード毎の相場感については、Google広告の「キーワードプランナー」というツールを活用することをおすすめします。キーワードプランナーでは、狙いたいキーワードが月間でどれくらい検索されているかの「月間検索ボリューム」や「検索結果に掲載された広告の入札単価」が確認できます。また、狙いたいキーワードと関連性のあるキーワード候補も確認することが可能な場合があります。
例えばキーワード「リスティング広告」では月間で22,200回程度検索されており、広告を出稿する場合の入札単価は安くて460円、高くて1,715円程度と予測がでています。
検索ボリュームや、そのキーワードがより成果の獲得に近いキーワードであればあるほど入札単価は高くなります。一般的な相場感と比較し自社の扱っている商材なども鑑みた上で適切な広告予算となっているのかを判断しましょう。
リスティング広告の費用は目標に応じて決めましょう。
また、目標を何に設定して計算すればよいのか、本章で説明します。
CV(コンバージョン)数とは、広告をクリックしてサイトに訪れたユーザーが、下記のように成果とみなされる行動をとった数のことを指します。
資料請求
お問い合わせ
商品購入
成果とされる行動は、数値で計測できるものを設定することが重要です。
効果測定を行う際に結果が把握できるようにしておきます。
CPAは1人の顧客を獲得するために費やした総コストを測定する指標になります。
WEBサイトの訪問数やCVなどの指標とは異なり、CPAは収益を直接測定する指標です。
下記の計算式を使用してCPAを求めます。
CPA=広告費用÷CV数
例えば1つ10,000円の商品から3,000円の利益を得ることを目標とする場合であれば、CPAは7,000円。つまり、7,000円のリスティング広告費用で1つの商品を売ることを目標として運用を行うことを前提として予算を決めます。
平均クリック単価とは、広告が1回クリックされた際に発生する費用の平均を指します。
下記の計算式を使用して平均クリック単価を求めます。
平均クリック単価=広告費用の合計÷クリック数の合計
平均クリック単価を低く抑えれば、広告運用の費用対効果が高まるでしょう。
さきほど紹介した「キーワードプランナー」などのツールを使用してクリック単価を確認しましょう。
売上目標から広告費を計算することも可能です。
まずは下記の計算式で売上目標に必要な購入数を求めます。
購入数(CV数)=売上目標÷商品単価
商品が1つ購入されるためのCV率が1%で、クリック単価が200円だとすると、広告費を求める計算結果は下記の通りになります。
広告費=購入数(CV数)÷1%×200円
予算を効率よく使うためには、下記の7つを行なってみましょう。
本章では、リスティング広告の費用対効果を高める具体的な方法について解説します。
広告ランクとは、広告の掲載順位と掲載の有無の基準となる指標のことです。
広告ランクが高くなるにつれて上位掲載されやすくなるため、広告運用において広告ランクの向上は重要です。
広告ランクを構成する要素は主に「入札単価」と「品質スコア」の2つです。この2つの掛け合わせによって広告の表示位置が決まるため、単に入札額を上げるだけでなく品質スコアの改善にも注力すべきでしょう。
品質スコアは広告文の関連性やキーワードの適切さランディングページの質などから判断されます。特に広告文とキーワードの整合性を高めることでクリック率が向上し、結果的に品質スコアも上がるという良い循環を生み出せます。また、定期的に検索語句を確認し実際にユーザーが使用している検索語句に合わせて広告を最適化することも効果的な方法です。
除外キーワードの設定により、広告表示するターゲットを絞り込むことが可能です。CV率の向上や費用対効果の最適化が見込めます。
広告運用を行っていると、意図しない検索ワードで広告配信されてしまうこともあるでしょう。
除外キーワードを設定し、意図しない検索語句での広告表示を防ぎます。
除外キーワードは広告費を無駄にしないためにも非常に重要です。
例えば、「リスティング広告 運用会社」というキーワードで、リスティング広告の運用を外注したいユーザーに対して広告を配信している場合、マッチタイプによっては「求人」「転職」「就職」「募集」などといった求職者に関連する単語でも広告が表示されることがあります。これらを除外することで、運用会社への就職を探しているユーザーへの不要な配信を抑制し、無駄な予算の消化を軽減することが可能です。
広告を出稿している場合であれば。また、自社の商品名や地域名と組み合わせて検索されやすい関連性の低いキーワードも除外対象として検討するとよいでしょう。検索語句を定期的に分析し、コンバージョンに至らない検索語句のパターンを見つけることが効果的です。
顕在層へアプローチする目的としては「リピーター化」や「CVの獲得」が挙げられます。
顕在層はすでに検討をしている段階であるため、最後のひと押しとして自社商品のアピールをすることはCVの獲得において効果的です。
顕在層の中で購入経験がある方に再購入してもらう「リピーター化」も目的の一つと考えられます。
顕在層とは具体的な商品やサービス名、機能などを検索しているユーザーのことで、すでに購入意欲が高まっている状態です。例えば「リスティング広告運用 依頼」など具体的なキーワードで検索しているユーザーは明確な意図をもっていることが考えられます。
中でもリスティング広告は、そのようなユーザーに狙って配信することが可能なため、広告文では「今すぐ購入」「即日発送」「24時間受付中」など即時性を強調したメッセージが効果的です。競合と差別化するポイントを明確に打ち出し、検討段階にあるユーザーの背中を押す広告設計を心がけましょう。
リスティング広告のマッチタイプは、下記の3種類から選択可能です。
このマッチタイプを活用することで、広告費の削減へつなげることができます。
配信対象ではない、ユーザーや配信面は除外しておくことが必要です。
検索広告で除外できる項目として下記が挙げられます。
キーワード
地域
時間と曜日
ユーザー属性(性別、年齢、世帯収入)
デバイス
購買意向
WEBサイトを訪れた経験
適切な配信対象の設定は、リスティング広告の費用対効果を大きく左右します。
例えば店舗型ビジネスであれば、来店可能な地域に絞って配信することで無駄なクリックを削減できます。また営業時間外の問い合わせが対応できない場合は、営業時間内のみに配信時間を設定するという工夫も効果的です。
費用対効果が見合うようになれば、徐々に配信対象を拡大していくことも検討していきましょう。
ランディングページ最適化(LPO)とは、広告がクリックされた後にユーザーが訪れるランディングページ(LP)のデザインを改善したり、掲載する情報を調整したりする取り組みのことを指します。効果的なLPOを実施することで、ユーザーの心理や行動を分析し、戦略的にコンバージョン率(CVR)を向上させることが可能です。
広告文とランディングページの内容が一致していない場合、広告ランクの低下を招くだけでなく、ユーザーの離脱が増加し、CVRが低下する可能性があります。特に、ユーザーが広告をクリックした際に期待した情報や解決策がすぐに見つからない場合、数秒以内に離脱してしまう傾向があるため、広告とLPの内容の一貫性を確保することが重要です。
LPOの施策としては、ユーザー導線の最適化やCTA(コール・トゥ・アクション)の配置改善など、CVR向上に直結する要素に加え、ページの読み込み速度やスマートフォンでの視認性向上など、ユーザビリティの強化も重要になります。
指名キーワードとは、企業名や商品・サービスのブランド名など、特有の名称を指定したキーワードのことです。
指名キーワードで広告を配信する理由として、下記の2点が挙げられます。
検索結果の占有率を増やす
競合他社への流出を防ぐ
指名キーワードは一般的にコンバージョン率が高く、費用対効果の良い広告出稿が期待できます。
例えば「〇〇株式会社 サービス」といった検索をするユーザーは、すでに自社に対する認知や関心を持っているため、購入や問い合わせなどのアクションに結びつきやすい傾向があります。実際に競合他社が自社の名前をキーワードとして広告を配信していることも珍しくありません。その場合、検索した際に競合のサイトへと流れてしまうこともあるでしょう。
そのため指名キーワードの出稿は、自社の商材を想起しているユーザーに対して、取りこぼしを防ぐためにも配信を検討するべきです。
また、検索結果ページで自然検索と広告の両方に表示されることで、ユーザーの目に触れる機会が増えクリック率の向上にもつながります。
リスティング広告の運用を行うには、多少のコツが必要になるでしょう。
本章では、最低限おさえておきたい運用のコツを開設します。
撤退ラインは、具体的な数値で運用する前に決めておきます。成果が出ない場合は、運用を続けることでリスクを伴うこともあるでしょう。
リスティング広告は成果がすぐに出にくい場合もあるため、撤退ラインを設けたうえでPDCAを繰り返し行うことが大切です。撤退ラインは、現在のコンバージョン率や費用対効果の指標を参考にすると良いでしょう。
例えば、「1ヶ月間の広告費用がコンバージョンによる利益を下回る状態が3ヶ月続いたら見直す」といった具体的な基準があると判断しやすくなります。また、撤退ラインを決める際には、初期費用の回収見込みや長期的な顧客獲得価値(LTV)も考慮に入れることで、短期的な数字だけに振り回されない戦略的な判断が可能になります。
リスティング広告の効果が、想定よりも好調であることも考えられます。そのため、事前に増額基準も決めておくと良いでしょう。
好調な成果が得られているのに、予算不足が原因で配信を伸ばしきれないのは、機会損失につながります。獲得できるタイミングがあれば配信を伸ばせるように、良い結果が得られることも想定して増額基準を明確にしておきましょう。
広告効果が好調な場合の判断基準としては、目標CPA(顧客獲得単価)を下回るコストでコンバージョンが獲得できている状態が一定期間継続していることが挙げられます。
例えば「目標CPAが5,000円のところ実績CPAが3,000円を下回る状態が2週間続いたら予算増額を検討する」といった具体的な指標を設定するとよいでしょう。
また、月初めにすぐに日予算上限に達してしまうようであれば、まだ獲得できる余地があるサインです。特に季節的な需要増加や自社のキャンペーン期間中は柔軟に予算を増額できる体制を整えておくことで、チャンスを最大限に活かすことができます。
リスティング広告の予算は、広告主が自由に設定できます。
予算が足りない場合は、下記の方法によって調整が可能です。
他の施策の予算をリスティング広告に回す
競合他社への流出を防ぐ
除外キーワードを設定する
リスティング広告は始めたばかりの段階では効果が出にくいことがあります。最適化には機械学習や検索語句データの蓄積が必要であり、それには一定の期間と予算が必要だからです。広告運用の初期段階では学習期間として位置づけ、段階的に拡大していく方法を推奨します。
特に新規アカウントでは、テスト的に様々なキーワードや広告文を出稿してデータを収集し、どのようなキーワードやメッセージが自社のターゲットユーザーに響くのかを分析することが重要です。その後、効果の高いものに予算を集中させていく「小さく始めて大きく育てる」アプローチがおすすめです。
リスティング広告で効果の最大化を目指すためには「成果に繋がらない箇所へ配信を極力しないこと」が考えられます。
多くの場合、広告予算には限りがあります。
成果のつながる箇所のみに集中して配信することで、リスティング広告の効果は最大化されるでしょう。
例えば検索語句を確認し、クリックは発生しているものの成約に至っていないキーワードを特定して除外するという作業が一般的です。また地域別のパフォーマンスを分析し、コンバージョン率の低い地域への配信を制限することも一つの方法です。
さらに時間帯や曜日別の成果を検証し、費用対効果の高い時間帯に予算を集中させることも重要です。特に企業向けであれば平日の業務時間内、カスタマー向けであれば夜間や週末など、業種によって効果的な配信時間は異なります。デバイス別の分析も必須で、モバイルとPCでコンバージョン率に大きな差がある場合は、効果の高い方に入札単価を優遇する設定も検討すべきです。このような細かな最適化の積み重ねが、限られた予算で最大の成果を生み出すリスティング広告運用のコツです。
関連記事:リスティング広告のやり方と、実施時に成果を高めるためのポイントについて
リスティング広告の運用には、PDCAを回しながら効果を最適化するスキルが求められます。
リスティング広告を初めとするWEB広告の代理店は数々のクライアントの広告アカウント運用を通じたスキルが蓄積されていることから、自社での運用が難しい場合は、代理店のプロへ相談してみましょう。
リスティング広告などWEB広告の運用を代理店に依頼したほうが良いケースとして下記が挙げられます。
自社内にリスティング広告を初めとするWEB広告運用経験者がいない
社内リソースに余裕がなく、リスティング広告を初めWEB広告運用に人員を割けない
リスティング広告の運用をしたい予算額の規模が大きい
なるべく最短でリスティング広告の成果を最大化したい
リスティング広告の運用をWEB広告代理店に依頼するポイントは、自社でリスティング広告を運用するよりもリスティング運用代行会社のほうが成果が出やすいことです。
リスティング広告をWEB広告の運用代理店へ依頼する場合のメリットとデメリットとして下記が考えられます。
メリット | デメリット |
結果を出しやすい | 運用手数料がかかる |
広告運用業務を担ってくる | ノウハウを社内へ蓄積できない |
最新の情報が手に入る | 途中解約ができない |
メリットとデメリットを理解したうえで、リスティング広告を初めとするWEB広告代理店の力をうまく活用しましょう。
リスティング広告の運用をWEB広告代理店へ依頼した場合と自社で運用した場合の費用を比較しました。
代理店へ依頼 | 自社で運用 | |
手数料 | 予算の20~30% | なし |
人件費 | なし(手数料に含まれる) | ・運用業務の担当者が必要 ・担当が不在の場合は採用 |
レポート作成 | なし(手数料に含まれる) | 運用業務の担当者が作成 |
自社内で、リスティング広告に精通した人員の確保ができれば自社で運用は可能です。
自社でリスティング広告の知見をもつ人員の確保が難しい、現状以上にリスティング広告の効果を出したいがどのように運用すれば良いか分からない、といった場合は、専門知見を持つWEB広告の代理店へ依頼した方が、より広告の効果を発揮し、自社サイトのCV向上に繋げやすくなるでしょう。
関連記事:リスティング広告代理店の選び方とは?成果を出せる会社の特徴を徹底解説
現在デジタルマーケティングにおいてお悩みがある方や、
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まずは自社の現状を知り、可能な改善施策はどういったものがあるのか、
スケジュール、予算感はどのようなものなのか等も含めて
ご説明しますので、お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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