更新日: 2024.09.02
広告施策を行う際には、1つの媒体に注力して行う場合もあれば、複数の媒体を横断して行うことでより効果を発揮しやすくなる場合もあります。今回は、芸能系養成所の事例をもとに、複数媒体においてWEB広告施策を行う際のポイントを見ていきましょう。
目次
昨年度、当該芸能系養成所は新設養成所第1期生の入所オーディション募集で注目を集めました。第1回目という特別な話題性が広告配信の成功を後押ししましたが、第2回目となる今年は、このような特殊な要素を活用することはできません。
このような状況であっても前回以上の成果を挙げるために、昨年の広告配信実績から成功要因と改善余地を探るべく分析しました。そして、これらの情報を踏まえ、今年のWEB広告施策の成果を最大化する方法を探求しました。
まず、前回の募集時に行ったWEB広告施策を、媒体別の数値や獲得単価などの観点から分析しました。単なる総獲得数だけでなく、各媒体への予算配分がどの程度効果的だったか、さらに配信回数と実際の獲得数の割合まで精査しました。
エンゲージメント数が多くても、それらがコンバージョンに繋がらない場合、媒体の効果は限定的なものとなってしまいます。
さらに、広告のクリエイティブにも注目しました。動画と静止画、どちらがより効果的であるかを検証し、コストパフォーマンスを意識して、最適なクリエイティブを採用する方針を確立しました。そして、これらのデータと分析結果を踏まえ、今回の広告運用施策ではより効率的に申し込みを獲得できるよう方向性を定めていきました。
上記の分析を踏まえ、前回時点でのキャンペーンにて成果のあった媒体に対しては配分する予算を引き上げ、逆に前回時点で成果の振るわなかった媒体に対しては、ターゲットユーザーの特性とマッチした媒体であっても予算を絞る方向性で運用していくようにしました。
次に、ターゲット別に掲載媒体の選定を行いました。
まず、顕在層の獲得を狙った施策として、リスティング広告を選びました。リスティング広告では、特に養成所への入所を検討しているであろうユーザーをターゲットとした広告展開を行います。そのため、対策キーワードの選定が極めて重要となります。そこで、指名系キーワードや「芸能 養成所」といった関連性が高く効果的なキーワードを精査しました。
ただし、ターゲットとなる顕在層のユーザーはそう多くなく限界があるため、予算増加時には獲得数が必ずしも向上しない点に留意し、効率性を重視した予算配分を行うこととしました。
次に、潜在層向けの広告施策として、SNS広告を行います。SNS広告では、主要なターゲット層が24歳までの若年層であることから、若年層向けの媒体を厳選しました。
さらに、選んだ媒体内で、具体的なターゲットユーザーを想定し、セグメント設定を行います。この際、就学・就業状況や興味関心のジャンルなどを考慮し、ターゲットの細かな特性に合わせて広告を最適化しました。これにより、より的確なユーザーグループにリーチし、コンバージョン率を高めることを目指します。
クリエイティブのビジュアルは、男性向けと女性向けで異なるものを用意します。男性をターゲットとした広告のビジュアルには男性の画像を、女性をターゲットとした広告のビジュアルには女性の画像を使用することにより、ユーザーがコンテンツを「自分ごと」として認識しやすくなり、コンバージョンへの誘導効果が高まります。
性別と同様に、クリエイティブのビジュアルは異なるアプローチを、異なる年代層に対して用意します。これにより、ターゲットユーザーが広告内容に共感し、行動に移しやすくなることが期待できます。
ユーザーの一般的な傾向として、締め切り直前で申し込みが増加する傾向があります。そのため、締切が近いことを広告内で強調し、機会の有限性をアピールすることで、ユーザーのコンバージョン率を向上させることを図りました。
カリキュラムの充実度やサポートの手厚さなど、「サポート面の手厚さ」をクリエイティブで訴求します。これにより、未経験者でも安心感を持ち、申し込みへの抵抗を減少させ、コンバージョン率を高めることを狙いました。
また、動画クリエイティブを活用する際には、以下のポイントを考慮します。
– 最初の数秒でユーザーの興味を惹く
– メインの情報やメッセージを後半に持ってくる
– スピード感を持たせる
これらの要素を組み合わせて、ユーザーに響く動画広告を制作し、コンバージョンを促進します。
施策を実行したら終わり、ではなく、実際に施策を行っている間でも数値分析を都度行うようにしましょう。広告運用における数値分析では、サマリーだけでなく詳細なセグメントで行うことが重要となります。性別や年代別の獲得傾向、媒体やデバイスの利用パターンを分析することで、詳細なデータを活用し、予算の効率的な配分や施策の最適化につなげます。
また、特設サイトや申し込み専用サイトなど複数のWEBサイトを使用する場合、それぞれのサイトごとにユーザー数やコンバージョン率を正確に把握することが重要です。その状況に適する計測ツールの設定や、各種プロパティを横断的に分析する視点を意識して、アクセス解析を行うことが必要となります。
施策を行うことで集めたデータを基にPDCAサイクルを効果的に回し、広告運用の成果を継続的に改善することが、コンバージョン率向上において重要な手順となります。
芸能系養成所のWEB広告運用の例をもとに、複数媒体を効果的に活用するポイントを解説しました。まずは目的を明確にしたうえで、過去の広告実績を活用することが、今年度の施策の最適化において不可欠となります。特に、複数媒体でのWEB広告施策を行う上では、ターゲット別の広告戦略を策定し、性別や年代に合わせた訴求や、期日やメリットをアピールした訴求を行うことが成果改善につながります。
さらに、計測環境の整備とデータ分析においては、性別や年代、媒体などのセグメントを詳細に分析しましょう。そうすることで、予算配分や広告クリエイティブの改善に生かすことが可能となり、コンバージョン率の向上につながります。データを正確に把握し、PDCAサイクルを回すことで、効果的な成果改善を行うことができます。
これらのポイントを適切に活用することで、より多くのコンバージョンを効率的に獲得していきましょう。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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