更新日: 2025.03.04
先日、「2024年1月~3月の期間に、既存のファインドキャンペーンはすべてデマンドジェネレーションキャンペーンにアップグレードされます。」とGoogleから発表がありました。
デマンドジェネレーションキャンペーンはGoogleのAIを活用し、幅広い掲載面やオーディエンスに広告を配信することができるキャンペーンです。この記事では、デマンドジェネレーションキャンペーンの特徴や配信方法、導入前に知っておくべき注意点を解説していきます。
目次
デマンドジェネレーションキャンペーンは、Google広告の「ファインドキャンペーン」の進化版 であり、2023年10月に正式リリースされました。
このキャンペーンは、Googleの機械学習を活用し、より広範囲のユーザーにアプローチ できる広告手法として設計されています。
特に、以下の3つの進化 が大きな特徴です。
✅ 広告掲載面の拡大(YouTubeショート・インストリーム広告対応)
✅ 配信クリエイティブの追加(動画広告の利用可能)
✅ 類似オーディエンスの追加(新規顧客ターゲティングの強化)
そのため、従来のファインドキャンペーンよりも柔軟で効果的な広告運用が可能 となっています。
デマンド ジェネレーション キャンペーンは、YouTube ショート、Discover、Gmail、Google 動画パートナーなど、YouTube 全体でエンゲージメントとアクションを獲得します。デマンド ジェネレーション キャンペーンは、あらゆる広告主様が利用可能な Google のインパクトの強いサーフェスに、視覚に訴えるマルチフォーマットの広告を配信したいソーシャル広告主様にとって理想的です。
引用:デマンド ジェネレーション キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ
ファインドキャンペーンとの違いを一覧にまとめました。
ファインドキャンペーン | デマンドジェネレーションキャンペーン | |
掲載面 | ・YouTube ・Discover ・Gmail |
・YouTube(インストリーム、ショート動画含む) ・Discover ・Gmail |
クリエイティブアセット | ・画像 ・カルーセル ・テキスト |
・画像 ・カルーセル ・テキスト ・動画 |
入札 | ・コンバージョン数 ・コンバージョン値 |
・コンバージョン数 ・コンバージョン値 ・クリック数 |
オーディエンス | ・Googleオーディエンス ・最適化されたターゲティング |
・Googleオーディエンス ・最適化されたターゲティング ・類似セグメント |
レポート・測定 | ・標準の広告レポート ・アセットレポート ・ユニークリサーチ |
・コンバージョン経由レポート ・データドリブンアトリビューション ・ブランドリフト ・コンバージョンリフト |
デマンドジェネレーションキャンペーンとファインドキャンペーンとの大きな違いは、「広告掲載面の拡大」「配信クリエイティブの追加」「類似オーディエンスの追加」です。
デマンドジェネレーションキャンペーンはGoogleのAIを活用し、より幅広い掲載面やオーディエンスに広告を配信することができるキャンペーンと言えるでしょう。
デマンドジェネレーションキャンペーンを活用することで、広告運用を効率化することができます。デマンドジェネレーションキャンペーンのメリットとその効果的な活用方法をお伝えします。
デマンドジェネレーションキャンペーンでは「類似セグメント」という機能を使うことができます。これは何でしょうか?簡単に言うと、あなたの既存顧客と似た興味や行動パターンを持つ新しいユーザーを自動的に見つけ出す機能です。
例えば、スポーツ用品店を経営しているとしましょう。これまでにランニングシューズを購入したお客様と似た興味を持つ人々に、ピンポイントで広告を届けることができるのです。このように広告がパーソナライズされることで、潜在顧客の興味を引きやすくなり、新規顧客獲得の効率が大幅に向上します。
デマンドジェネレーションキャンペーンには「クリック数の最大化」という入札戦略が追加されました。
この機能を使うと、システムが自動的に最適な入札単価を設定し、できるだけ多くのユーザーに広告を表示してクリック数を増やします。従来の「コンバージョン獲得」だけでなく、「多くの人に知ってもらう」という認知拡大の目的にも活用できるようになったのです。
さらに、YouTubeショート動画やインストリーム広告(動画を視聴する前に表示される広告)といった動画フォーマットにも対応しています。特に最近人気が急上昇しているショート動画に広告を出すことで、若年層を含む幅広いユーザーとの接点を増やすことができます。例えば、15秒のショート動画で商品の魅力を伝えることで、長い説明を読むことなく商品の特徴を理解してもらえるでしょう。
デマンドジェネレーションキャンペーンは比較的新しい広告形式のため、まだ多くの企業が活用していません。
簡単に言えば、「競争が少ない市場」に早く参入できるチャンスです。過去にパフォーマンスマックス(P-MAX)広告がリリースされた際も、初期に取り組んだ広告主は「通常より安いクリック単価」や「コンバージョン数の増加」といった恩恵を受けました。
混雑が少ないため、より多くのユーザーの注目を集めやすく、競合が増える前に自社ブランドの認知を広げることができます。特に広告予算が限られている中小企業にとって、このタイミングを活かすことは非常に重要です。
デマンドジェネレーションキャンペーンでの配信を検討している方に向けて、デマンドジェネレーションキャンペーンを始める前に押さえておくべきポイントについて詳しく解説していきます。
ファインドキャンペーンからデマンドジェネレーションキャンペーンにアップグレードする場合は、機械学習が安定するまでパフォーマンスの揺れが発生する可能性があります。正しいターゲットに適正なクリック単価で広告を配信していくためには、パフォーマンスの変動を細かく確認し、設定の微調整を行いましょう。
デマンドジェネレーションキャンペーンは、クリエイティブがメインとなるキャンペーンです。画像や動画の見せ方、テキストの訴求内容、配置、サイズなどパターンの異なる複数のクリエイティブを用意してテストを行い、最適なクリエイティブで広告配信を行うことでより良い成果を得ることができるでしょう。
このように、デマンドジェネレーションキャンペーンで成果を上げるには、複数のクリエイティブの作成や動画の作成が重要となります。そのため、クリエイティブ作成のリソース確保を行い、自動アップグレードまで余裕を持ってクリエイティブ制作を進めましょう。
動画クリエイティブを作成する場合は、配信するプラットフォームや広告スペースにおけるセーフゾーンを確認しましょう。例えば、YouTubeショートに出稿する際は、画面右側のいいねボタンやコメントボタンと動画クリエイティブが被っていないか注意しましょう。
クリエイティブが正しく表示されないと、訴求内容の理解や視覚的な印象が損なわれる可能性があります。動画広告の最適な形式や寸法について理解し、セーフゾーン内でのクリエイティブ制作を心掛けましょう。
下記2つのパターンに分けて、デマンドジェネレーションキャンペーンで広告配信を始める方法をお伝えします。
1.新しくデマンドジェネレーションキャンペーンを作成する場合
2.ファインド広告からアップグレードする
Google広告管理画面のキャンペーンページから「新しいキャンペーン」をクリックして、キャンペーンの新規作成に進みます。
デマンドジェネレーションを選択できるキャンペーン目標は下記となっています。キャンペーン目標によって選択できるキャンペーンが異なりますので、注意しましょう。
「デマンドジェネレーション」を選択してください。キャンペーン目標によってキャンペーンタイプの選択肢は異なります。
キャンペーン単位で設定できる項目は画像に示した通りです。
1日の広告予算は必須項目ですので、忘れずに設定しましょう。
広告グループ単位で設定できる項目は画像に示した通りです。
「最適化されたオーディエンス」にチェックを入れることで、LPや広告クリエイティブの情報を基に設定した目標を達成する可能性の高い新規ユーザーが自動的にターゲティングされます。
作成する広告の種類を選択して、画像・テキスト・広告の遷移先など広告の内容を入力していきます。画像・ロゴ・広告見出し・説明文・遷移先URL・ビジネスの名前は、入力必須となりますので注意しましょう。
広告の入稿後、すぐに審査が始まります。審査が終了すると、すぐにでもキャンペーンを開始することができます。
利用している広告アカウントのGoogle担当者にファインドキャンペーンからデマンドジェネレーションキャンペーンへのアップグレードを依頼することで、自動アップグレードを待たずにデマンドジェネレーションキャンペーンを利用できるようになります。
ただし、Google担当者がついていない場合は、2024年1月~3月の自動アップグレードを待つ必要がありますので注意しましょう。
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、さまざまなターゲティング手法を活用することで、広告の精度を高めることができます。特に 「類似セグメント」「カスタムセグメント」「デバイスターゲティング」 の3つは、効果的なターゲティングに欠かせません。
類似セグメントを利用すると、既存の顧客データを基に、興味関心が似た新規ユーザーに広告を配信できます。デマンドジェネレーションキャンペーンでは、以下の 3段階の類似度 を選択できます。
類似度 | ターゲットの範囲 | 適した用途 |
---|---|---|
2.5% | 既存顧客と非常に近いユーザー | 精度重視のコンバージョン獲得 |
5% | バランスの取れたターゲット層 | ブランド認知とコンバージョンの両立 |
10% | 広範囲の潜在顧客 | 認知拡大と新規開拓 |
例えば、BtoB企業の場合、2.5%の類似セグメント で配信すると、自社サービスに関心を持ちやすい企業担当者に絞り込むことができます。一方で、 10%の類似セグメント では、これまでリーチできていなかった新規層へ訴求できます。
カスタムセグメントは、検索行動や競合サイト訪問歴をもとにターゲットを作成できる機能 です。例えば、以下のような設定が可能です。
これにより、すでに購買意欲の高いユーザーにピンポイントで広告を届けることができます。
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、デバイスごとのターゲティングも可能です。例えば、以下のように使い分けることができます。
適切なデバイスを選定することで、無駄な広告配信を減らし、ROI(投資対効果)を向上させることができます。
P-MAX(パフォーマンスマックス)キャンペーンとデマンドジェネレーションキャンペーンは、どちらもGoogleのAIを活用した広告キャンペーンですが、それぞれの特徴は大きく異なります。
デマンドジェネレーション | P-MAX | |
---|---|---|
配信先 | YouTube、Gmail、Discover | Google全ネットワーク(検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail など) |
ターゲティング | 手動設定(類似セグメント・カスタムセグメント可) | AIによる自動最適化(オーディエンスシグナル活用) |
レポート詳細度 | クリエイティブ単位で成果分析可 | どのクリエイティブが成果につながったかは不明確 |
運用の自由度 | 細かいターゲティング・配信面の調整可 | Googleの自動最適化が強く、コントロールしにくい |
P-MAXは「運用の手間を省きたい場合」に向いていますが、デマンドジェネレーションキャンペーンは ターゲティングを詳細に設定し、広告のコントロールを重視する場合 に最適です。
Googleディスプレイネットワーク(GDN)とデマンドジェネレーションキャンペーンの主な違いは、広告配信先とターゲティング方法 にあります。
デマンドジェネレーション | GDN(ディスプレイ広告) | |
---|---|---|
配信面 | YouTube、Gmail、Discover | Googleの提携サイト・アプリ |
ターゲティング | 検索履歴・カスタムセグメント・類似セグメント | キーワード・トピック・プレースメント |
広告フォーマット | 画像・動画・カルーセル広告 | 画像広告が中心 |
目的 | 購買意欲の高いユーザーへのアプローチ | 認知拡大・リマーケティング |
デマンドジェネレーションキャンペーンは 購買意欲が高いユーザーに適した配信 を行えるため、GDNよりも「コンバージョン獲得」に強い傾向があります。
Google広告の「デマンドジェネレーションキャンペーン」は、ファインドキャンペーンの進化版として2023年から段階的に導入が進められてきました。本セクションでは、リリースから完全移行までの流れを時系列で詳しく解説します。
🔍 ポイント
✅ β版の目的は「新機能のテスト」と「広告配信の最適化」にあり、選ばれた広告主のみがアクセス可能でした。
🔍 ポイント
✅ すべての広告主が自由に利用できるようになり、Googleの主要な広告配信手法の1つとして本格運用が開始。
✅ 従来のファインドキャンペーンの運用者は、新機能への適応が求められる時期となった。
🔍 ポイント
✅ 広告主はこの期間内に必ずデマンドジェネレーションキャンペーンへ移行する必要がある。
✅ 2024年3月末には、ファインドキャンペーンは完全に廃止される予定。
✅ 移行後は、YouTubeやDiscover、GmailなどのGoogleプロパティを活用した広告配信が主流となる。
デマンドジェネレーションキャンペーンは、GoogleのAIを活用し、幅広い掲載面やオーディエンスに広告を配信することができるキャンペーンです。
本記事では、デマンドジェネレーションキャンペーンの概要から活用方法、注意点まで配信に必要な基礎知識をお伝えしてきました。
これから本格化するデマンドジェネレーションキャンペーンへのアップグレードに先駆けて、デマンドジェネレーションキャンペーンでの運用準備を行っていきましょう!
いかがでしたでしょうか?皆さんにとって有用なコンテンツとなっていれば嬉しいです。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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