更新日: 2024.09.02
アトリビューションモデルという言葉をご存知でしょうか。全く聞いたことがないという方もいれば、広告運用やアクセス解析において目にしたことはあるが、どういうものかはよく分かっていない、という方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、アトリビューションモデルの概要や各モデルの特徴、Googleの広告運用において使用するツールでどのように設定するかを解説します。
目次
アトリビューションとは、広告のコンバージョンに至る経路のうち、ユーザーがコンバージョン達成までに辿った複数の接点に対して、最終的なコンバージョンへの貢献度に応じた評価をする考え方のことを指します。
アトリビューションモデルが必要である理由として、費用対効果だけでなく、将来的に成果を向上させるため、といった点が挙げられます。
コンバージョンに繋がったユーザーが最後に接点を持った広告だけを評価する視点のみでの分析では、コンバージョンに繋がりやすい広告への投資を増やし、コンバージョンに繋がりづらい広告への投資を抑えるといった対策を行う、といった結論を出すことになるでしょう。
上記のような対策を行うことで、費用対効果は改善されるかもしれません。しかし、商品を知ってもらう「きっかけ」として貢献していた広告を評価しないことで、次第にユーザーとの接点を無くしていき、成果が頭打ちになる可能性が出てきます。
そこで、コンバージョンまでの経路をより細かく見ていくことで、より確実に、より長期的に成果を上げるために、アトリビューションモデルが必要となります。
たとえば、筆者は最近ECサイトで、普段使用しているものと別のブランドのスキンケア商品を購入しました。もともと「化粧水を新調しよう」とは全く考えておらず、最近悩んでいた乾燥肌の対策方法について検索し、様々なサイトのコラム記事を読んでいただけでした。
しかし、その中で見かけたディスプレイ広告で商品を認知し、そこからさらに商品に関して検索をすることで情報収集や検討を行い、最終的に購入までに至りました。上記のケースでは、検索の中で広告を見かけたことが、購入につながったといえます。
このように、はじめは検討すらしていなかったものが、偶然得た情報により購入行動へ影響することがあります。しかし、これらの行動の中の最後の接点にしか着目できていないと、これらの偶然の接点を見失ってしまい、集客や売上増加の機会を逃しかねません。
そのような事態に陥らないようにするためにも、アトリビューションモデルが必要であるといえます。
では、コンバージョン分析では必ずアトリビューション分析を行わなければいけないのでしょうか?ここでは、アトリビューション分析に向いているケースと向いていないケースについて解説します。
アトリビューションモデル分析に向いているケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
◆アトリビューションモデル分析に向いているケース
コンバージョンまでに複数のチャネルを経由する
比較的高額であり、購入の検討から実際の購入や利用までに長い時間がかかる商品、サービス
コンバージョン数に占める指名系キーワードでの検索の割合が高いかったり、コンバージョンに繋がったキーワードが極端に偏ったりしている
アトリビューションレポート内で見た時に、ラストクリックモデルとその他のモデルで差が見られる
上記のようにコンバージョンまでの経路が複数あったり複雑になりやすいケースに関しては、アトリビューション分析が適しているといえます。
一方、以下のポイントに当てはまるケースは、アトリビューション分析に向かない傾向があります。
◆アトリビューションモデル分析に向かないケース
単価の安い消費財等、どこで購入しても差が少なく、比較検討されづらい商品やサービス
コンバージョン経路がシンプル
上記のようなケースにおいては、アトリビューション分析を行うことで、逆に成果と分析の工数が見合わない、といった状況になることが考えられます。
アトリビューションモデルには、いくつかの種類があります。ここでは、代表的な6つのモデルを紹介します。
なお、ここでは、かつて利用できていたモデルも含めてご紹介します。2023年6月以降、Google広告の管理画面で利用できるモデルが「データドリブン」と「ラストクリック」のみとなり、その他のアトリビューションモデルに関してはサポートを終了しているため、注意が必要です。
参考:Google広告ヘルプ
コンバージョン経路のうち最後にクリックされた広告のみに貢献度を割り当てるモデルのことを、ラストクリックモデルといいます。
購入に近い接点のみを評価するため費用対効果を予測しやすいモデルといえますが、コンバージョンをアシストした接点は分からないというデメリットもあります。
反対に、コンバージョン経路のうち最初にクリックした広告のみに貢献度を割り当てるモデルのことを、ファーストクリックモデルといいます。
獲得よりもブランディングや認知促進を重視する場合におすすめのモデルです。
コンバージョン経路で発生したすべての広告クリックに対して均等に貢献度を割り当てるモデルのことを、線形モデルといいます。
分析手法として導入しやすいモデルではありますが、どの接点が効果的だったのかを判断するにはある程度のデータ量が必要となるという面もあります。
コンバージョン経路のうち最初と最後の広告クリックにそれぞれ40%の貢献度を割り当て、それ以外の広告クリックに残りの20%を割り当てるモデルのことを、接点ベースモデルといいます。
初回と最後の接点を重視しているのが特徴となるモデルです。
コンバージョンに至ったユーザーとのすべての接点を「コンバージョンまでにかかった期間」で評価するモデルのことを、減衰モデルといいます。
このモデルでは、広告の接点からコンバージョンまでの期間が短いものに多くの貢献度を割り当て、コンバージョンまでの期間が長いほど貢献度を減衰して割り当てて分析します。
コンバージョンに至ったユーザーとのすべての接点を「コンバージョンまでにかかった期間」で評価するモデルのことを、減衰モデルといいます。
このモデルでは、広告の接点からコンバージョンまでの期間が短いものに多くの貢献度を割り当て、コンバージョンまでの期間が長いほど貢献度を減衰して割り当てて分析します。
上記の5つのアトリビューションモデル以外に、「データドリブンアトリビューション(DDA)」というモデルがあります。
他の5つのモデルでは、各接点で割り振られている貢献度の割合があらかじめ決定されているのに対し、データドリブンアトリビューションでは、機械学習を利用した動的なアルゴリズムに基づいて貢献度を割り振っている点において大きく異なっています。
Google広告において、広告の管理画面やGoogle Analyticsなど、様々なツールを使用していきます。それらのツールでアトリビューション分析を行う方法をご紹介します。
検索広告(検索キャンペーン、ショッピングキャンペーン等)を対象とした機能で、これらの広告のアトリビューションレポートを確認することができます。
この機能の中の、「アトリビューションモデリング」では、現在採用しているアトリビューション分析のモデルとその他のモデルの違いで、成果へどのように影響するのかを確認することができます。
上記は、以下のような手順で確認することができます。
①Google広告の管理画面右上[ツールと設定]>【測定】の中の[アトリビューション]を選択
②画面左横[モデル比較]>モデル別でのコンバージョン比較ができます
アクセス解析ツールであるGoogle Analyticsにも、アトリビューション分析を行うことができる機能があります。
Google広告のアトリビューションモデルとは異なり、カスタムパラメータを設定することで、アトリビューション分析が可能になります。
なお、Google広告の管理画面上では、広告経由の流入のみの分析となりますが、Google Analyticsを利用することで、自然検索など広告以外のチャネルからのトラフィックも含めたクロスチャネル分析も行うことができます。
Googleアトリビューションは、Googleが提供するアトリビューション分析ツールです。2017年5月に発表されましたが、現在はベータ版での提供のみとなり、正式リリースを待っている状態となります。
このツールでは、他のアトリビューション分析ツールにおいて課題となっている以下の点をクリアすることができると考えられています。
◆従来のアトリビューション分析ツールにおける課題
設定が難しい
ユーザーが複数デバイスをまたいだ場合に購入経路が測定できない
広告ツールと連携しておらず、対処が難しい
Google広告で実際にアトリビューション分析を行ううえで、ツールの設定が必要となります。ここでは、その手順をご紹介します。
①[ツールと設定]>[コンバージョン]を選択
②[+新しいコンバージョンアクション]をクリックし新規コンバージョンを作成
③計測したいコンバージョンの種類に合わせてあてはまるものを選択
>デフォルトの「データドリブン」モデルで設定された状態でコンバージョンアクションの作成が完了
④上記のアトリビューションモデルを変更したい場合には、
[ツールと設定]>[コンバージョン]
>【コンバージョン目標】画面内で対象となるコンバージョンアクションを選択
[設定を編集]>[アトリビューション]を開き、プルダウンから使用したいモデルを選択
>[保存]>[完了]
前項では、アトリビューションモデルの設定方法をお伝えしました。次に、Google広告の管理画面上で、アトリビューションレポートにおける広告の成果を確認する方法をご紹介します。
①画面右上[ツールと設定]>[測定]>[アトリビューション]
②画面左[コンバージョン経路]を選択、
左上の[ディメンション]のプルダウンから「キャンペーン」を選択
>コンバージョンに至るまでに、どのキャンペーンを経由したかが確認できる
アトリビューションモデルは、広告運用における成果改善において非常に重要な考え方となります。
Googleで提供されている各ツールだけでも、できることとできないことがあり、分析の難易度はやや高いものとはなりますが、より精密に、より多角的にコンバージョン経路を分析することで、改善施策の幅も広がるでしょう。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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